Game #sky お月見の日々(?)の新しいズボンが欲しくて1ヶ月ぶりくらいに久々にログインしたら、ずっと前に助けてそのままカケラを送り合うだけだった雀さんが飛んできた。 ▼MORE みんなにそうするように手を振って挨拶したら、チャット解放のろうそくを差し出してくれた。あれ、なにか話したいのかな?と思って、受け取ってみる。そういえばこの人、外国の人かな? そう思って名前を見た。 私がつけた仮の名前は「書庫の迷子さん」だった。書庫で出会って、目が合うなりすぐろうそくをくれて、向こうから手を繋いできてくれたからだ。手を繋ぐからには上り方がわからないのだろうと、1Fから最上階まで案内したんだった。懐かしい思い出。個人的に、雀さんがフレンドになろうと近づいてきてくれるのは、雨林と書庫が多い気がする。 チャットは日本語で始まった。簡単な挨拶が済むと、書庫の迷子さんは、お礼を言いにきたのだと言った。 「ずっといなくて、もう会えないかもしれないと思った。戻ってこなかったらどうしようかと…。あのとき、助けてくれてありがとうございました。直接お礼を言えなかったことを、すごく後悔してたんです」。 びっくりした。一言一句正確に覚えてるわけではないけど、だいたいこういうことだった。skyでは、フレンドにはログイン状態がわかるシステムがある。しばらく見かけず、もうログインしないのだと思っていた私が、星座版にひょっこり帰ってきて、迷子さんは急いで会いにきてくれたのだ。 わざわざ言いにきてくれたの? というか、ずっと私のこと待ってくれてたってこと? めんどくささだけでおサボりしていた軽薄な自分が、急に申し訳なくなってくる。 すごいなあ。 私はお礼を言われるほど、たいしたことはしていない。最初に出会ったときも、いつも通り、好き勝手に空を飛んだり、ギミックの起動に必要な場所をエモートで指差してみたり、暇な時にダンスしてただけだ。その間、迷子さんと手を繋いでたってだけ。 ここにたぶん、skyのすごさがある。 コミュニケーションはエモートだけで、会話はしていない。それでも手を引っ張って一緒に過ごした記憶が、2人の中にしっかり根を張るのだ。一緒にいたのは、せいぜいたったの十分くらい。それでも、手を引かれるばかりで何も動かないアバターの向こうで、相手の心の中には何かが染み込んでいたのだ。それも、私が思っていた以上に、深く。 わざわざ丁寧にありがとう、とお礼を言って、その日は2人で手を繋いで、一緒に火種を集めた。パンを食べているあいだに、私がデイリークエストで書き込んだ瞑想コメントを覚えている、と教えてくれた。「初心者を励ますメッセージでした。そのおかげでskyを続けています」と。正直うろたえちまったよ。私は書き込んだ内容さえ覚えていなかった。ただ、自分が初心者の頃にかけて欲しかった言葉を深く考えずに書き込んだのだと思う。迷子さんとは名前を教え合い、またタイミングが合えば今度は私の方から飛ぶよと、また一緒に遊ぼうと約束して、その日は別れた。 旅先のホテルのベッドの上で、少しの間放心した。私はなにか、すごいことをしたのだろうか? してないと思う。偶然通りがかって、ゲームの進行を少し手伝っただけだ。すごいのは、繋がりを深く意識させる設計になっているskyというゲームの世界観やシステム。そして何より、わざわざお礼を言いにきた迷子さんの方だ。勇気も必要だっただろうに。 迷子さんは私のことを「先生」と呼んでくれて、それがめちゃくちゃ恥ずかしかった。 私の先生は、ニカラグアの人だ。彼は私の前にチャットテーブルを出してくれて、何にもわからない私にskyの全てをスペイン語で説明してくれた。面倒見が良くて、しょっちゅう飛んできては、手を差し出してくれた。私は彼の手に引きずられるようにしていろんな場所や飛び方を教わった。私は迷子さんに何もしていない。でも、迷子さんは私のことを先生と呼んだ。 自信ないよう、というのが本音だ。でもまあ、いまさら先生らしいことをしようとも思わない。迷子さんはもう立派な課金アイテムを身にまとっていたし、普段はソロでたくましく空を飛んでいるらしい。でも私の先生にこのことを言ったら、なんていうかなあと思った。彼は仕事が忙しくて、もう半年くらい会えていない。 姪っ子に勉強を教えているんだ、と言った彼の言葉を思い出す。あなたはいい先生になれるね、と伝えたら、彼は何かスペイン語で呟いた。翻訳ボタンを押した時に表示された、あの文字を思い出す。 「種を蒔くように。」 私は気づかずに撒いていたらしい。たまたま出たこの芽を、せっかくいただいた縁を、自分のペースでゆっくり育てていけたらいいなと思う。▲CLOSE
お月見の日々(?)の新しいズボンが欲しくて1ヶ月ぶりくらいに久々にログインしたら、ずっと前に助けてそのままカケラを送り合うだけだった雀さんが飛んできた。
みんなにそうするように手を振って挨拶したら、チャット解放のろうそくを差し出してくれた。あれ、なにか話したいのかな?と思って、受け取ってみる。そういえばこの人、外国の人かな? そう思って名前を見た。
私がつけた仮の名前は「書庫の迷子さん」だった。書庫で出会って、目が合うなりすぐろうそくをくれて、向こうから手を繋いできてくれたからだ。手を繋ぐからには上り方がわからないのだろうと、1Fから最上階まで案内したんだった。懐かしい思い出。個人的に、雀さんがフレンドになろうと近づいてきてくれるのは、雨林と書庫が多い気がする。
チャットは日本語で始まった。簡単な挨拶が済むと、書庫の迷子さんは、お礼を言いにきたのだと言った。
「ずっといなくて、もう会えないかもしれないと思った。戻ってこなかったらどうしようかと…。あのとき、助けてくれてありがとうございました。直接お礼を言えなかったことを、すごく後悔してたんです」。
びっくりした。一言一句正確に覚えてるわけではないけど、だいたいこういうことだった。skyでは、フレンドにはログイン状態がわかるシステムがある。しばらく見かけず、もうログインしないのだと思っていた私が、星座版にひょっこり帰ってきて、迷子さんは急いで会いにきてくれたのだ。
わざわざ言いにきてくれたの? というか、ずっと私のこと待ってくれてたってこと? めんどくささだけでおサボりしていた軽薄な自分が、急に申し訳なくなってくる。
すごいなあ。
私はお礼を言われるほど、たいしたことはしていない。最初に出会ったときも、いつも通り、好き勝手に空を飛んだり、ギミックの起動に必要な場所をエモートで指差してみたり、暇な時にダンスしてただけだ。その間、迷子さんと手を繋いでたってだけ。
ここにたぶん、skyのすごさがある。
コミュニケーションはエモートだけで、会話はしていない。それでも手を引っ張って一緒に過ごした記憶が、2人の中にしっかり根を張るのだ。一緒にいたのは、せいぜいたったの十分くらい。それでも、手を引かれるばかりで何も動かないアバターの向こうで、相手の心の中には何かが染み込んでいたのだ。それも、私が思っていた以上に、深く。
わざわざ丁寧にありがとう、とお礼を言って、その日は2人で手を繋いで、一緒に火種を集めた。パンを食べているあいだに、私がデイリークエストで書き込んだ瞑想コメントを覚えている、と教えてくれた。「初心者を励ますメッセージでした。そのおかげでskyを続けています」と。正直うろたえちまったよ。私は書き込んだ内容さえ覚えていなかった。ただ、自分が初心者の頃にかけて欲しかった言葉を深く考えずに書き込んだのだと思う。迷子さんとは名前を教え合い、またタイミングが合えば今度は私の方から飛ぶよと、また一緒に遊ぼうと約束して、その日は別れた。
旅先のホテルのベッドの上で、少しの間放心した。私はなにか、すごいことをしたのだろうか? してないと思う。偶然通りがかって、ゲームの進行を少し手伝っただけだ。すごいのは、繋がりを深く意識させる設計になっているskyというゲームの世界観やシステム。そして何より、わざわざお礼を言いにきた迷子さんの方だ。勇気も必要だっただろうに。
迷子さんは私のことを「先生」と呼んでくれて、それがめちゃくちゃ恥ずかしかった。
私の先生は、ニカラグアの人だ。彼は私の前にチャットテーブルを出してくれて、何にもわからない私にskyの全てをスペイン語で説明してくれた。面倒見が良くて、しょっちゅう飛んできては、手を差し出してくれた。私は彼の手に引きずられるようにしていろんな場所や飛び方を教わった。私は迷子さんに何もしていない。でも、迷子さんは私のことを先生と呼んだ。
自信ないよう、というのが本音だ。でもまあ、いまさら先生らしいことをしようとも思わない。迷子さんはもう立派な課金アイテムを身にまとっていたし、普段はソロでたくましく空を飛んでいるらしい。でも私の先生にこのことを言ったら、なんていうかなあと思った。彼は仕事が忙しくて、もう半年くらい会えていない。
姪っ子に勉強を教えているんだ、と言った彼の言葉を思い出す。あなたはいい先生になれるね、と伝えたら、彼は何かスペイン語で呟いた。翻訳ボタンを押した時に表示された、あの文字を思い出す。
「種を蒔くように。」
私は気づかずに撒いていたらしい。たまたま出たこの芽を、せっかくいただいた縁を、自分のペースでゆっくり育てていけたらいいなと思う。▲CLOSE