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水槽の底

マーマレード用の鍋、水分が蒸発しやすいように広口になってる バケツみたいだ 専用の鍋ってかっこいい 緑露ちゃん持ってそう 鯉壱はキッチンで緑露ちゃんのこと見てるから、何用の鍋とかわかるんだろうな でも自分は重たくて持てないから、蜂散さんにお手伝い頼みそう 

「えーっと、レシピによると、つかうのは…『3リットルのお水、カゴいっぱいのオレンジ(皮が硬くて苦味のあるもの)、皮が柔らかくなったら』…また『3リットルのお水』そして『2.7キロの砂糖』」「2.7キロ!?ほんとにバケツいっぱいできるな〜」「バケツじゃなくてお鍋ね」

「…『砂糖はオーブンで少し温めて加える』」「オーブンも使うのか…俺あのオーブン苦手だよ。鯉壱もすっぽり入るくらいでかいだろ?」「僕、中に入ってお砂糖を均せるよ。普通は棒でやるけど、入ろうと思えば…。それで…また火にかけるんだ。『黄金色になり、スプーンでさわってしわができたら出来上がり』」「しわ?」「ちょっと固くなるから、表面がしわしわになるんだよ。僕わかる」「じゃあ最終チェックは鯉壱シェフだな」

「とちゅうでわからなくなったら、この本を見て」「ずいぶん古いね」「緑露ちゃんのおばあちゃんの、そのまたおばあちゃんの、ずーっとおばあちゃんのレシピなんだって」「…緑露ってどこかの国のお嬢さんだったりするのかな?」「そうかも。僕、お姫様でも驚かないよ」「はは、たしかに」close