日記
2月末は我が家の犬のお誕生日だった。プレゼントに買ってあげたベッドがやっと届いて、さっそく使ってみてほしいけど、ぎちぎちに圧縮されたクッションがまだ膨らみきってない。最大72時間置かないといけないらしいが、待てなくて24時間でもうベッドに詰めた。見てみてテディ。どうおもう? ふかふかだよ。これは車の座席にもつけられる。病院に行くのも超快適だよ。テディは眠そうに私をみて、そのままこたつの中に入っていった。

テディは16年目の犬生に突入した。まごうことなきおじいわんだ。日中は眠ってることが多いし、目もあんまり見えてないのかちょこちょこぶつかってくるし、毛も赤ちゃんの頃に比べたらずっと薄くなった。でも、大きな病気もしてないし、毎日散歩に行くし、抱っこしようとすると走って逃げるくらい元気。だから普段は年齢のことは忘れている。ただ、ふとしたときに思う。ねむってるとき、ちゃんと息してるかどうか、お腹を見つめてしまうときがある。

少し前に、散歩の途中で買い物に行った家族を、スーパーの入り口でテディと二人で待っているとき、通りすがりのおばあちゃんがテディに声をかけてくれた。なんさいなの?と優しく聞いてくれたので、16歳になりました、と答えたら、あら長生きねえ!と目を大きくして教えてくれた。「うちも飼ってたの。フレンチブル。かわいかった。でも、9歳のとき、スッといっちゃった。」

スッと、という部分がふわ〜っとゆっくり頭の中に降りてきた。たまにお散歩中に声をかけてくれる犬連れではない犬好きの人たちは、たいてい、別れを経験している先輩だ。何度も聞くこのセリフに、なんて返したらいいのかいまだにわからない。胸がじんわり苦しくなる。ずっと一緒にいられるわけじゃないってわかってるけど、それが来ないといいなあっておもう。おもうしかない。おばあちゃんと別れた後は、そればっかり思い続けながらぼうっとしていた。テディは終始無言のまま、じっと店舗の出入り口を監視し続けていた。いつもどおりで、それがかわいくて、ちょっと触ったら振り払われた。それもいつもどおり。かわいい。

サイズに余裕を見て選んだはずのベッドは、テディが寝っ転がるとみちみちで、ある意味ジャストフィットだった。ここまでクッションがみちみちだと通気性の面が心配だけど、背中とお尻をしっかり支えてくれるから寝心地は今のところいいみたい。眠かったのか、クッションの間に思ったよりおとなしく収まってくれた。

ゆっくり上下するテディのお腹を、眺めながら思う。ずっと一緒にいられたらいいのに。人間と犬は、呼吸するスピードさえも違う。だからいつも見てる。見ていれば、テディのかわいさも、テディの気持ちも、テディの変化もわかる。一緒にいられる間は、ずっと見てるつもりだ。そして長生きしてくれ〜って願い続ける。でもたぶん、これはテディには伝わってないと思う。それでも大丈夫。犬はいるだけで良いんだから。▲CLOSE